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宅配物の受け取り・リビングへの運搬をロボットが全自動で!Preferred Roboticsと旭化成ホームズが進める、新しい暮らしの創造

 毎日当たり前にやっているけれど不便なことを、アイデアとテクノロジーで解決できたら――。家庭用自律移動ロボット「カチャカ」を提供するPreferred Roboticsと、「ヘーベルハウス」を展開する旭化成ホームズは、暮らしの領域でこの課題に取り組んでいます。

 今回紹介するのは、宅配の受け取りとリビングへの荷物の運搬を、全自動で、安全に、時間を選ばず完了できるサービス。荷物の受け取りを柔軟に行えない問題や、置き配を使う際の防犯面での不安を解消します。

動画で見てみたい方は、こちらから↓ (デモ映像【俯瞰視点】)

 これは2023年1月、ラスベガスで開催された世界最大級のデジタル関連の展示会「CES® 2023」でお披露目した企画で、現在はサービス提供開始に向けたブラッシュアップを進めています。この記事では、プロジェクトの関係者に、企画のポイントを聞きました。

インタビューに参加いただいた方
旭化成ホームズ 下川さま
旭化成ホームズ 村瀬さま
旭化成ホームズ 陳さま
Preferred Robotics 近藤さん

新サービスの詳細

 旭化成ホームズは、IoT技術によって家の内外をつなげ、居住者にサービスを提供していく「デジタルサービスプラットフォーム」の実現を目指しています。

デジタルサービスプラットフォームのイメージ
旭化成ホームズ プレスリリースより

 その先駆けの一つが、「スマートクローク・ゲートウェイ」。室内に設けた鍵付きの置き配スペース「スマートクローク」を通じて、宅配物をはじめとしたモノの出入りをスムーズに行います。

 具体的には、宅配物を持った配達員のみが知ることのできる時限パスワードを発行し、居住空間のセキュリティを担保しつつ外からスマートクロークへのアクセスを制御し、時間を選ばず安全な空間でストレスなくサービスを完了することができます。

スマートクローク・ゲートウェイの図
サービスサイトより

 今回、デジタルサービスプラットフォームと自律移動ロボット「カチャカ」が連携することで、無人の住宅で、カチャカがスマートクローク内で宅配物を受け取り、居住者が帰宅したら居住者のいるリビングまで配送できるようになりました

カチャカがデジタルプラットフォームを介して配送情報を知り、
配送業者を待ち受けて見守りながら、安全に荷物を受け取る
旭化成ホームズ プレスリリースより

 また、配達員がスマートクローク内部で異常行動を行った際に、自動で警告を発する機能を実装。カチャカが配達員を追尾し、「出口へお戻りください!」と警告音を発します。これにより、さらに安全な暮らしを実現できるようになりました

動画で見てみたい方は、こちらから ↓(デモ映像【第三者視点】)

新サービス展示の狙いとは?

 今回、企画と展示を担当した村瀬さんは、そのコンセプトについて「これまで当たり前だったことを変えていくという意味で、チャレンジングなものだった」と振り返ります。

 「スマートクローク・ゲートウェイは、これまで人が荷物を受け取るのが当たり前だったところを、セキュリティが担保された中間スペースを用意することで、人がいなくても、配達員さんが家の中に荷物を置いてくれる世界を実現しようとしています。
 
 そこに自律移動ロボット、つまりカチャカが入ることで、より安全に、家の中と家の外がシームレスに繋がっていく。このことをまず形にして世の中に提示し、フィードバックをもらいながら、コンセプトをより実用的なものにブラッシュアップしていきたいと考え、今回の展示を行いました」(旭化成ホームズ 村瀬さん)

実現を支えた技術のポイント

 動画を見るとすべてが流れるように進んでいますが、この仕組みを実現するためには、さまざまなタスクが含まれます。以下はその一例です。

1. 宅配員の存在や荷物の受け取り、引き渡しをカチャカが把握し、その情報を自動ドアと連携させて、必要なタイミングでドアの開閉を行う
2. 来場者が自由に行き交う環境下で衝突することなく移動する
3. カチャカが家の間取りを把握し、居住者の指示した目的地に辿り着く

 特に1の荷物の受け取りとデータ連携は、実現の上で大きなポイントだったそうです。

 「カチャカは決められた時間にある地点に行くことはできるのですが、今回の企画では、配達員さんがクロークに入って、荷物を置いたのを認識してから、次のタスクに自律的に移行することができるようになっています。この点が技術的なポイントの一つです」(旭化成ホームズ 陳さん)

 「荷物を受け取った、という判定には、カチャカの高さ方向を検知するTOFセンサーを使っています。手と荷物がセンサーの上を通ったことを読み取って、荷物を置いたと判定するんです。荷物を引き渡した、という判定もできます」(Preferred Robotics 近藤さん)

動画ではこの部分 ↓(0:53~)

企画と展示を通じて

 ラスベガスで開催された「CES® 2023」で披露されたこの企画。世界中から集まった来場者と、いろいろな意見交換ができたといいます。コンセプトについて共感が集まり、「早く発売をして欲しい」という声をいただいたり、特に対面での接触を避けたい医療関係者からの反響が大きかったそうです。

CES®での展示の様子
画像右に見えるワゴンが宅配物を運ぶ
CES®での展示の様子
カチャカがスマートクロークを通過し、リビングに荷物を運ぶ

 住宅・暮らしに関わるサービスを作る上での難しさ、面白さを、下川さんは次のように明かします。

 「住宅は誰にとっても、シェルターであるべき場所、心地よく感じられるべき場所だからこそ、そこに新しいものを取り入れるかどうかは、慎重に判断されます。たとえば、リビングの位置や座席の高さを変えたり、LDKという世界観を崩すと、戸惑われる方が多くいます。また、展示場では『いいね』と思ってもらえても、これから50年、60年とその場所に住むことを考えると、新しいものを選択するハードルはとても高くなります。そのような空間についてお客様に提案することの重みを、日々感じています。

 だからこそ、カチャカのような新しい暮らしを創造するものを、どのように日常に取り入れていくかというのは、チャレンジングな反面、大変やりがいのあることです。どのような生活を送っているかは一人ひとり違うので、『カチャカのどんなところに魅力を感じるのか』もまた、人によって異なります。その点を丁寧に掘り起こしていくプロセスにも、さまざまな発見があります」(旭化成ホームズ 下川さん)

 今回紹介した企画は、サービス提供開始に向けた磨き込みを進めてているところです。同時に、今回構築したデータ連携の仕組みを生かした新しいサービスの企画・検討も進んでいます。新しいお知らせは、このnoteやプレスリリースで随時発表していきます。

各サービスの詳細はこちら

カチャカ ブランドサイト ↓

スマートクローク ブランドサイト ↓

CES®展示に関するプレスリリース ↓