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Takram田川欣哉さん、デザイナー鈴木元さんは、カチャカをどう使う? 製品発表会レポート

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2023年2月1日の製品発表会では、カチャカの開発パートナーであるデザインイノベーションファームTakram Japan の代表取締役 田川 欣哉さん、GEN SUZUKI STUDIO 代表 / プロダクトデザイナー 鈴木 元さんをお招きし、デザインのポイントやおふたりの使い方をお聞きしました。その様子をレポートします。

(左)Takram Japan株式会社 代表取締役 田川 欣哉さん、(中央)株式会社GEN SUZUKI STUDIO代表 / プロダクトデザイナー 鈴木 元さん、(右)株式会社Preferred Robotics CEO 礒部 達(セッション進行)

製品発表会の様子は以下の動画でもご覧いただけます。このnoteでご紹介するパートは【19:30~カチャカのデザインに関するトークセッション】からどうぞ。


礒部:カチャカは家庭内を動き回るものなので、デザインが非常に重要です。見た目の美しさだけではなく、スムーズな動きや音声、いずれもが生活の中に溶け込み、人とロボットが自然に共存できるように設計しました。 
 
 今日は我々の素晴らしいパートナーである、デザインイノベーションファームTakram Japanの代表、田川さんとプロダクトデザイナーの鈴木 元さんにお越しいただきました。私から、おふたりへいくつか質問させていただきます。

高度なテクノロジーが生活に入っていく。その準備とは

礒部:カチャカは使い方に幅のある、プラットフォーム性のある商品です。このプラットフォーム性のある商品を実現する上で大切だったデザインのポイントを教えていただけますか?

田川さん:カチャカはまだ世の中に存在していないプロダクトなので、すべてのものをゼロから考える必要がありました。 

 たとえばコンセプトデザイン、サービスデザイン、スマホアプリのUI/ UX、ブランドのデザイン、サウンドのデザインなどはTakram。プロダクトデザインは鈴木さん。コンセプトムービーはWhateverさんと、考えうるベストメンバーを集め、ここまで仕上げてきました。

 DAY1から礒部さんはじめPreferred Roboticsのエンジニアやマーケターの方々と膝詰めの議論や試作を重ねてきて、こうしてはじめて、生活の中にこの高度なテクノロジーが入っていける準備が整ったのだと思っています。

Takram Japan株式会社 代表取締役 田川 欣哉さん
テクノロジーとデザインの幅広い分野に精通するデザインエンジニア。主なプロジェクトに、日本政府の地域経済分析システム「V-RESAS」のディレクション、メルカリのCXO補佐などがある。グッドデザイン金賞、ニューヨーク近代美術館パーマネントコレクションなど受賞多数。

礒部:ありがとうございます。鈴木さんはいかがでしょうか?

鈴木さん:僕はカチャカとファニチャーのプロダクトデザインを担当しています。新しいテクノロジーは、ショールームでは良く見えていても、実際に家庭の中に入った途端に全然馴染まないということが、よくあると思うんです。

 特にカチャカというプロダクトはいろいろな家庭環境で使われますし、これからいろいろな家具が載ってくる可能性がある。そう考えると、デザインとしては静かで、生活環境に馴染んでいく方向性が良いと考えていました
 カチャカは革新的なのですが、主役はあくまでも生活者、お客様です。カチャカは黒子に徹するのが良いと考え、デザインしました。

株式会社GEN SUZUKI STUDIO代表 / プロダクトデザイナー 鈴木 元さん
日用品や家具、家電など、毎日の生活のためのデザインを国内外の企業と行っている。GERMAN DESIGN AWARD金賞、IDEA賞金賞、米クーパーヒューイット国立デザイン美術館永久収蔵など受賞多数。2023年英D&AD賞プロダクトデザイン部門審査委員長。

カチャカシェルフの形状は「定」と「動」のあいだ

礒部:カチャカの専用家具の第一弾は、カチャカシェルフです。このシェルフとカバーパネルのデザインのポイントも、お聞かせいただけますか?

鈴木さん:家具はこれまで固定されていて、動かなかったですよね。部屋は四角いですし、そこには四角い家具がはまっていたわけです。これに対して、今回、家具が自律的に動き回るというときに、どういう形が一番自然なのかということを考えました。 

 四角いと、旋回したりしたときに角が出てしまい、どうしてもちょっと怖いんです。旋回のスペースも大きくとってしまうので、狭い住環境ではスムースに動けない。では丸がいいかというと、それではシェルフとしての収納力が少なくなってしまう。 
 カチャカは、四角と丸の間の形状なんです。「定」ということと、「動」ということとのあいだの形をしている。ここがデザインにおいて一番の特徴だと思います。

カチャカシェルフ(2段)とカバーパネル(ライトグレー)
シェルフとドッキングして家具を運ぶ
カチャカシェルフ(3段)とカバーパネル(ライトグレー)

鈴木さん:オプションでカバーパネルも用意していて、これを付けることで非常に使い方の幅が広がります。ファブリックなので、シェルフを柔らかい雰囲気にしてくれます。

カバーパネルはライトグレーとダークグレーの2色展開。写真はダークグレー

礒部:ありがとうございます。我々も数十種類、いろいろな家具を試作していたのですが、この鈴木さんのカチャカシェルフの図案が出てきた瞬間に、一気に意見がまとまったのをよく覚えています。

田川さんはデスク周りで、鈴木さんはリビングでカチャカを愛用

礒部:今回おふたりにもカチャカを実際にご自宅でお使いいただいていますが、どのように使われていますか。

田川さん:リモートで仕事することが増えて、自宅の中での仕事環境を工夫し始めていたときに、ちょうどカチャカを使うようになりました。“デスクの周辺にあったらいいけれど、ずっと置いておきたくはないもの”って結構あるんですよね。ブランケットとか、ちょっとしたペンとか、僕の場合だと工具とかカッターとか。

 そういったものをカチャカシェルフに置いておいて、ふと思ったときにスマホから手元に呼び寄せる。終わったらシェルフを片付けられるので、デスク周りの整理整頓の自由度が、大きく変わってくるんです。

 僕の場合はこういう工夫ですが、カチャカは生活者の皆さんの“ちょっとここを工夫したいな”という、いろんなシチュエーションを受け止めてくれる仕組みなんだなと、使いながら体感しています。

鈴木さん:キッチンや事務所でいろいろ使ってみたのですが、子供のおもちゃや絵本をしまうのが、一番しっくりきた使い方です。小さな子どもがいて、リビングがすぐにおもちゃで埋められてしまうのですが、うちの子は片付けが苦手なのでなかなか片付けてくれません。

 カチャカは自律的に動くので、道具というよりも子どもにとっては友達みたいな、相棒みたいな存在になるんですよね。カチャカを呼んで、カチャカが来てくれて、おもちゃを載せて、一緒に片付ける。こうするようになってから、片付けが上手になりましたし、楽しんでやっています。

 もう一つすごく良かったのが、おもちゃってどうしても雑多な見た目になってしまうのですが、カチャカにカバーパネルを取り付けて回転させて壁側に寄せると、おもちゃが隠れるので、部屋がすっきりします。リビングでクリーンな見た目を保ちながら、子どもと一緒に過ごすことができるようになりました。

ユーザーと改善を重ねることで、イノベーションが根付いていく

礒部:最後におふたりから一言ずつ、デザイナーとしてのメッセージをお願いできますでしょうか?

田川さん:仮に10年後、生活環境の中で動くロボットが普通になっていたとしたら、今日がそのDAY1なのだと思っています。 

 生活の中にテクノロジーが入っていくときには、ユーザーをどのように理解するか、生活の細かいところにエンジニアも入っていかなければいけませんし、マーケティングをやっている人も、デザイナーも入っていかなければいけない。ユーザーと一緒にどんどん改善を重ねていきながら、イノベーションが根付いていくのだと思います。ぜひ、ユーザーの皆さんに喜んで使っていただきたいです。

鈴木さん:家具が動くというのは、革新的なことです。もしかすると、インテリアデザインや建築の考え方をガラッと、ドラスティックに変えていく可能性があるかもしれません。まだ小さな一歩かもしれませんが、これからの展開が非常に楽しみです。

 ぜひ僕たちも使いたいですし、たくさんの方に使っていただいて、一緒に未来を作っていけたら嬉しいですね。


カチャカにまつわるあれこれを、引き続きこちらのnoteで発信していきます。どうぞお楽しみに。